孤独の滴る夜/智鶴
 
ある日、夢を見た
僕以外の人間が皆いなくなって
僕は
独りぼっちだった


第一章、早朝

目覚ましが鳴らなかったので寝坊
もう九時過ぎだ
お腹がすいたので
朝ごはんを食べようと思った
でも
キッチンに君はいなくて
冷蔵庫は空っぽ
戸棚には皿すら無い
君の名を呼ぼうとして
気付いた
(君はなんという名前だったろうか)


第二章、午前

仕方がないので
買い物に行くことにした
自転車で近所のスーパーへ急ぐ
でも
もう十一時になるというのに
誰もいないし
何もなかった
自動ドアすら手で開けた
店員を呼ぼうとして
気付いた
(目的すら忘
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