ふかみどり/木立 悟
土色の声が
緑を曲がり
今は失い川を流れる
明るすぎて
からになる鏡に
満ちてゆく寒さ
地に残りつづける
光の矢のしるし
ただ置き去る音のほうを向く
土の道 石の階段
途切れるとき 変わるとき
足跡にくすぶる緑の羽
声の上を流れる指さき
声がどこかへたどりついても
どこへもたどりつけない指さき
奥へ奥へ遠のく道から
まばゆい鏡の寒さから
目覚めないまま身を起こす笑み
いとしさ いとおしさ
触れることのできない
狂おしさ
鉄と鏡を鳴らす青
鉄と鏡のはざまのこがね
鉄と鏡の手を取るむらさき
星が笑みになる夜も
いくつかの足跡は目を閉じて
片羽に憎しみを隠し持つ
空わたる獣がひとりではなく
終わる力からはじまりゆく日に
なみだ知る指へ降りそそぐ緑
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