キロとセンチ/
蒸発王
こお
こお
こお
北の風が鳴いております
風は雲を誘って
暗闇には
雨が降っております
月も
星も
流されたくなくて
隠れてしまいました
世にある 光りは
人の眼球に宿る焔と
家からにじみ出る灯りのみでございます
そんな
家光りの香りを
嗅ぐたび
哀しみに成る
寸前の
安堵感が
喉の先に
せり上がって来るのです
ああ
もっと
強い人間ならば
其の感情を
愛
と名づける事が
できるのでしょう
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