鯨のペニス/
草野春心
中学生の想像力は
万物を強姦している
おさまるべき枠組みを求め
有機的な快楽を知りたがり
夕暮れの廊下を絶え間なく這い回る
古惚けた水族館に
佇む 巨大な鯨のペニス
かつて自身が性欲だったという事実は
時のギロチンによって切り落とされ
それはただ静かに存在している
概念だけで完結しているものは
浮かばれない霊魂のように忙しい
内実の失われた表象にこそ
まことの静寂が宿る
(着想 : 村上春樹氏「羊をめぐる冒険」第三章第一節より)
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