幸せの土壌/チアーヌ
が万策尽きて
いよいよ残るのは
こんなに苦しい自分が無くなれば
すべてを終わらせることができるという真実
そんなとき
様子がおかしいと
何度も電話をくれた友達や
無理矢理に
わたしを親戚宅に押し込んだ両親や
親戚宅の黒犬がいなかったら
いなかったらって思います
人はひとりで生きて行けないと
よく言われているけれど
そうじゃない
誰かが愛してくれているということ
そのひとつひとつは小さくても
恋人なんかいなくても平気だよ
もともとひとりなんだ
生きて死んで
病気のとき
たとえば出産のときだって
痛いのはひとりだけ
でもね
愛してくれる人がいる
愛してくれる犬がいる
小さい小さい愛のかけら
そういう集まりの中で
自分も小さな愛を誰かに
そんな風に暮らして行けることが
たぶん
幸せの土壌になる
毎日
息を吸って吐いて
できるだけでいいから
前を向いて
戻る 編 削 Point(5)