手紙/ばら
 



灰色の下線を見つめて
手がちっともうごかない

言わなきゃいけない言葉は
あふれかけているのに
余計なものばかりが
頭をよぎってしかたない

笑い方とか
泣き声とか

あまりにもあいだがあきすぎて
消えかけているよ


空の青も
海の音も

あの頃と同じなのかすら
もうわからない


灰色の下線に空欄

最初の一文字



ひとつ思い出した




このクセ字を笑ったその声







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