微吟(十)/
信天翁
落日が千手観音となって
丘のひだをまさぐっている
きょうはどんな日だったのか
と いわんばかりに
雑木林のそよぎは「時」が駆ける
あしおとなのか
天使の梯子は「空」が巡った
あしあとなのか
脊髄は鴉のねぐらとなり
脳髄は苔むした墓石と化す
あゝ 寝室には無惨にも散乱している
にびいろとなった有機物の断片が
戻る
編
削
Point
(1)