夕食の支度/AKiHiCo
 
何も考えずに野菜を切っていた
夜には帰ってくるあの人の食事を作る
食べやすいように細かく刻む
水に漬けて灰汁を取り除く

塩で味付けをする
旨みが増すようにと
気付いてもらえないけれど
それでいい

無言で独りきり支度をしていると
ふと涙が溢れてくる事がある

最近ではもう
美味しいと言ってくれなくなった
出てくるのが当たり前のように
何もないテーブルの前に腰を下ろす

アナタはお客様ではない
私はウェイトレスではない

変わってしまうのは仕方がないのだと
自分に何度も言い聞かせた
私さえ我慢すれば全て上手くいく
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