悲鳴/AKiHiCo
誰か私をここから救い出して
鏡を覗き込んで溜息
裏切られ裏切られても
尚まだ誰かを何かを
信じていたいと内側で願う
報われる日が来ると言い聞かせ
顔を上げては髪を掴まれ
キミの指に縺れ絡まり
憎しみだけが増加
覚束無い足取りで
必死にバランスを保ち
キミの元へと向かうけれど
滲む視界は涙か血かと
赤い糸を辿った先に居るのは
キミではないのだと
ようやく知らしめられた
それならばもっと酷く貶めて
掌で掬った心の粒子はさらさらと
指の間をすり抜け音もなく
虚空に溶け込んでゆき
やがては消え去り輝きを忘れてしまう
諦めの眼差しが寂しい
この眼に映る世界は醜くて
生きている意味が
もしも在るなら
どうか少しでも教えて
信じていた未来にさえ裏切られても
それでも僕はここに立っている
立ち尽くして絶望を受け止めている
噛み締める砂は蜜の味
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