[:Glass/プテラノドン
。
もしくは、針の無い時計だった。そして、夜中に目を覚ました
彼女は、実際のところ何もせずにじっと足を組んだ格好で
夜明けを迎えただけだった。しかし、彼女は気づいていただろうか?
その間ずっと、祖母の幽霊に膝枕をしつづけたことを。
そしてもしも、ブラウン管に映る泥棒たちがそれを見ることが
出来たなら、もれなく花束を渡すことだろう。でも何のために?
求愛?慰め?彼女の冷たい意思の前で差し出される花束は
まったくの無意味だ。そして彼女に限らず、机に置かれたままの
呆れ顔の花瓶だって、花束を吐き出し―
彼女のかわりに語ってくれる。
殴り雨に打たれたこと
それに耐えきったこと
真っ青な青空に耳を傾けていた
八月の花模様の仕草が
どんなに美しかったかを
そしてその向日葵が
いまもなお
花瓶に差し込まれたままだと
私たち以外は誰も
気づかない
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