夜を閉じる/深月アヤ
 
抱いて欲しいと言えないままに
時間だけが過ぎて行く



ようやく暗くなった海の

闇と音に紛れて

貴方は「キスしよう」

と私に言った


唇がただ触れるだけのキス


百戦錬磨の戦士が

なんだか照れているようで

そのあと私は長いキスを返した


帰したくねーって
貴方は言ったけれど私はそれを飲み込んだ



私には貴方に言えないことがたくさんあって

貴方はとても美が好きで

美しくない私など

死んでもお見せ出来ないから

このまま去ることを考えてたのに


あのまま抱いていたかった
飽きるほどキスしていたかった



一人の夜にメールが届く



覚えておくから

あの時の鼓動

汗の匂いを

恥じた貴方も


全部、全部ね



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