人の夜/doon
 

 室内を暗く変えるサッシ
 閉められた店内に
 人はいない

 私達は得てして求めることもなく
 あの様な暗がりに変わっていく運命を
 頭のどこかではなく
 魂の何処かで解っているのではないだろうか

 私にはまだ、店を閉めてもらいたくはなかった
 安堵のため息を店は
 吐き出したに過ぎないのだが
 私にとって
 途轍もなく尊いものに見えた

 人の夜
 人に与えられた夜はいつやってきて
 いつ
 朝を迎えるのだろう
 輪廻転生という
 誰も知らない朝を
戻る   Point(0)