夢を買う男/風音
小さなテーブルにふたりで横に並んで座った。
ー買って欲しいだろ?
わたしは素直にうなずいた。
とても逆らえない魅力に。
ーでも何を払えばいいの?
男は笑って答えた。
ー別に。わかってるだろ?
ーうん。・・たくさん買って欲しいの。
男は私の目をじっと見つめた。
なんだか自分が透明になった気がした。
ー買うよ。いっぱいあるんだなあ。
男は苦笑して私から眼をそらした。
ーもう苦しまなくていいよ。
ーその夢どうするの?
ーどうしようかな。
はぐらかす男にわたしは粘って言った。
ーどうするの?
ーシャボン玉みた
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