渡り鳥に捧ぐ/udegeuneru
子供の頃から場当り的に生きてきた俺は
ドブネズミのように美しくはなれない
ビルの屋上から町を眺めている
ここから見下ろすこの町の風景は煌めいている
ドライブする恋人たちが全速力で俺を祝福してくれる
小高い丘からこちらを見てきょろきょろと、ツグミが歌っている
キンモクセイの香りをまとった風が俺の額にやさしくキスをする
そんな時こう思うんだ
俺はひとりじゃないって
何にも心配することはないって
まあ、どれも全くの嘘なんだけど
ドブネズミのようになれないのなら
せめてあの夕焼け空の一部になって
混ざり合って溶けてしまいたい
その場かぎりの取繕いも
醒めながら
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