ある日/んなこたーない
よりそう影がきみを支える、踏みにじられた花束のように。
胸の奥深く、押し殺した闇夜。埠頭から海へと身を投げる、
踏みにじられた花束のように。
昨日の窓辺に凭れて、かきむしるように
こみあげてくる、若い体温にぼくは耳をすましていた。
脱ぎ捨てたままのイヴニングドレス。
ハードボイルド小説の一人称。
海鳴りのする掌が、祈るように重なり合う。
マーマレード色した倦怠の朝。
冷笑的なモーニングコール。踏みにじられた花束の悪臭。
近くにある空港の信号灯が、上空高く、よぎっている。
きみの去った霧のなかから、
さりげなく近づいてきて、轟音とともに走り去る、
ぼくの、Sweet
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