骨と首の話 その4(完)/hon
 
 駅前からは、彼の案内によって、私は進んでいった。
 はじめのうち、彼がはっきりと道順を指示するので、なんの疑問も持たず信頼して従っていた。
 しかし、それはしだいに怪しくなってきた。迷いなく指示する態度には終始変わりがなかったのだが、たとえば、四つ角を右へ曲がるよう指示して、ずいぶん進んだ後に「さっきの四つ角に戻ってくれ」といった後戻りをさせられる。一度や二度ではなく、頻繁に何度もだ。彼の案内が心もとなくなってくるのも無理のないことである。
「問題ない」彼はうけ負った。「決して我々は道に迷っているのではない。大まかな方向は間違いなく分かっているのだから、こうして少しずつ細かい探りを入れなが
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