無題/石畑由紀子
 



小石がはねた
みっつめのところで
沈んでいった
それはそれは
穏やかに
すこし左右にゆれながら
底を目指して
落ちてゆく
水面に
たくさんの輪を残して


さようなら
さようなら
みんなの心の隅に
いくつかの輪を残して
できれば
悔やまれて
僕はいなくなりたい




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