ある港によれば/
こしごえ
海鳥(うみどり)は
淋(さみ)しくないて いますよと
波間のふねを
そよ風が
帰っていって 透きとおり
なき声ひくく羽ばたいて
夕べの斜陽が今朝方に
燃え映ってしゃらしゃらと
しろがねいろのさざなみを
しずまりながら 昇りつつ
そらへかたむきつらぬいて
わんきょくされた呼吸音
まちびとの
おもかげゆぅらりあおぎいる
水平線に限られて
浜のろうじんうた歌い
波にかくれた貝のブレスが
白い素足にふまれて閉じる
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