ジン・トニックにチェリー/
衿野果歩
聞こえるはずの有線や
隣りの席の喧騒は遠く
耳に響くのはただ
あなたが噛み砕く氷の音
薄暗い照明に
照らされる指先の卑猥さ
子どもらしい仕草はポーズ
いつだってあなたは
沈黙が落ちる
あなたは退屈ですか?
射抜かれた視線の先
あなたは何を見ていますか?
グラスの底に残った
カルーアの甘さに
あなたという人に
魅せられて酔えば
その喉元を滑り落ちる
戻る
編
削
Point
(3)