午後と火/木立 悟
 

煙へ沈む音たちの影
煙と共にくりかえす


あらゆる場所に浮かぶくぼみに
雨は静かに満ちてゆく
見える傘と見えぬ傘
すれちがうたびに生まれる声が
雨と雨のはざまをくぐり
空に刺さり 空に揺れる


呑みつづけるのか
吐きつづけるのか
足跡を燃す火は鳴り止まず
空が閉じる一瞬の
はざまに満ちる淡い柱
音のない海へ倒れる


曇に映る煙の影が
さかさまのかたちを描いている
くぼみからあふれた雨は流れ
土の上に光を残し
離れたふたつのさかさまを
ひとつの文字にかがやかせてゆく














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