壁の日付/
 
息を吐ききり、空っぽになった肺と鼻腔を受け皿としてはじめて成立する行為である。
満ちた皿に盛られる料理はあり得ない。
空の皿を、数多くの他人の満足が蹂躙しつくした空っぽの皿の上にこそ、
まだ見ぬ誰かを満たす美味は、料理は、欲望は、充填されるのだ。



人を満たす欲望は、それと同じだけ人を盲目にさせる。
度を越したインプットは、充足の果ての傲慢と、傲慢故の自意識過剰と、
過剰すぎる自意識がもたらす眩暈を誘発する。
そうして、眩暈に苛まれた人間を指す言葉とは、つまるところ盲目だ。



アスタリスクで文節を区切って、どうなるものでない。
区切った分だけ酒は飲まれ、煙
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