秋の雨/
いねむり猫
苛烈な夏の記憶で、まだのぼせている頭を
しとしとと冷ましてくれる午後の雨
熱いアスファルトに幼子が撒く打ち水のあわれ
小さな木陰からはみ出た肩を焼かれながら涼む老婆
グランドで叫ぶ少年たちの内臓まで熱く枯れた夏休み
むごい夏の記憶を小さな雨粒が一つ一つ癒しながら消していく
こうして季節が移り変わることが
秋がこのように静かに歩むことが
秋がしたたるように体に染み込むことが
密かにうれしい午後
戻る
編
削
Point
(2)