詩人の憂鬱/音阿弥花三郎
 
我々は我々のもっとも好む方法で詩をつくるが
死はつくり出せない
我々は泡を吹く蟹のように
横這いになり哀しむ

詩人の憂鬱について
我々は充分に討議し合った
しかし死人の快楽については
沈黙するしかなかった

思えば千の毒の致死量も知らず
養老院で産み落とされる子はなく
雨は降り続くだけだ

せり上がる嘔吐感に耐えてでも見続けなければならない物は何か
超高層ビルの屋上からジャムプさせる偽の翼
殺されてでも手に入れるべき物を本当に希求しているか
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