無差別殺人犯の心/アイルビユアミラ
 
る事無く
多くのゴミと同じく捨てられた
食べられずに

僕はそれを見て
何も痛みを感じなかった
僕はその殺しに
目を伏せることは無かった


裁かれぬ心の中
欠けている何かに気付いた
悪意無く無差別に命を奪った者の心に空いた
穴に気付いた

そしてそれが誰にでも空いている穴だという事に
自分にも確かに空いている穴だという事に
気付いてしまった

小さな子供   小さな虫  小さな命
子供が死んだ  虫が死んだ
子供が殺された 虫が殺された

ここは何処だろう
大きな手が襲ってくる
ためらいの無い顔で殺そうとする大きな手が

ためらいの無い顔で殺そうとする
人間の手が

小さな虫を殺した
小さな子供を殺した

幼い子供達を無差別に殺した犯人に対し
残酷だと思った僕は
部屋に迷い込んだ小さな虫を叩き殺した

僕らは
ためらいもなく生きる命を殺せる無意識な生き物だった

僕らは
あの無差別殺人犯と同じ
人間という生き物だった




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