機械になるためのマニュアル/ケンディ
 
1.心構え
機械たろうとする者は、精神から切り離されなければならない。だがさらに、自然の摂理からも切り離されねばならない。死を自然への回帰と思うことも諦めねばならない。黙々と油にまみれた沈鬱な生の反復。これを病的に続けねばならない。そこにはキシレンの芳香とモーター音と忘我がある。

2.反復されるキシレンの芳香
鉄粉、有機溶剤、タバコの煙。これらを工場の中で順番に吸入し続けること。絶え間なくこれを繰り返すこと。それによって己の在り方が機械に近づき、いずれは同化するであろうという予感を抱くこと。鉄の匂いから、己が生産者であり、かつ生産される何物かであると理解すること。

3.反復されるモ
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