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煙草の匂いが服に染みて
肖像を形成してゆく
悪魔の箱が崩れた隻眼の
ガラス玉の輝きは失われたろう

黙って世界を怨むことにしたよ

褒められたいから 飼われたオオカミは
心臓に噛み付いて
人間を殺すのだろう
喜ばせたいから 飼われたカラスは
眼球を刳り貫いて
あなたに渡すのだろう

憎しみしか生まれないのに 今日も
町に出てパンを買って
墓場を通って家に帰って来るんだ
首に下げた銀の十字架はただの飾りだろう
愛なんて無いんだから

童話の名前が思い出せなくて
残像を掻き消してゆく
天使の娘が描かれた絵画の
油絵の具の彩りは喪われたろう

黙って世界を恨むだけにするよ
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