道化と星/Souko
紛らわすために見逃した。だがすぐ寂しさに気がついた。
紫色の夜が駆け出す。文字は否応なしに同方向に顔を向け、背伸びしている。
膝先の夜を蹴っとばしたくなった。どうせ目撃者は星か水滴かなんかだ。
ぐいと引いた足の踵がマンホールに捕まりへなとよろめく。
片足取られて天秤落とした。
なんだか格好付けてばっかりだ。こんな月夜に笑い顔。
梟の群は目をつむり、踵ははずれの魔女の足。
盗まれたのはそんな小さき肩すくめ。
盗ませたのはそんな小さき肩すくめ。
星が揺れた。
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