木の物語/yo-yo
 
あの高い木のてっぺんにいるのは
多分ぼくだ
ぼくの知らないぼくだ

忘れていたのかもしれない
ぼくがすっかり忘れていたぼくなのだ
だから懐かしい

ぼくは手を振った
だがそいつは
いまも空をみつめている
空には何もない

木は
星をつかもうとして手を伸ばします

物語の始まりは
小さな一本の木だった
小さな手で植えられた椎の木だった
そしてぼくは
木だった




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