水滴。/皆川朱鷺
 
彫刻を愛でれば
白い大理石がとろけそうだ

柔らかな肉のひとつひとつ
今にも流れるように動き出しそうで
私は思わず息を止める

布地の擦れる音がする
静かな瞬きが繰り広げられ
その度に私は架空のシャッターを切る

体温を与えたら
色彩を与えたら
贓物や声や肌を
与えたのならば

……

私には動くのが見える
白い白い彫刻が
生物となって呼吸するのが

ならば私の全てを与えようと思える程




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