イタリアン・インテリジェンス/atsuchan69
 
ゼリー状の七色のトポスが死んだ日。――
愛しいカルメラを焦がした甘い匂いまでが
いつか知らないうちに喪に服しちまったみたいで
それは廃れた漁師町の瓦礫の打ち寄せられた海辺にも似て
今宵も古びた広大な屋敷中に漂う、
ゴルゴンゾーラ・ピカンテの青黴臭と靴下のシンフォニー!

きっとオマエが聖職者であれば
彼の日、ゴルゴダの丘を想わせるような
ふぅーっ。一番鶏の鳴く夜の終りに
食卓の上に置かれたクリスタルグラスがひとつ。

キャメルとかいう煙草のケムリに噎せて不手際に倒すと――
潅がれた一杯の水を
乾いた布地に拡げ、
かつてスラブ系純血貴族であったグラスは転げ落ち、
黒御
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