駅/
彌月
都会的な駅の風景に紛れ込んだ
荷かつぎの老婆は
自分は昔からそうしているのだと主張するかのように
背中の荷を左右に揺らしながら
いつもの朝を始めている
満員電車の中
上等な仕立てのスーツを着ながら
空いた席に急ぎ座る壮年の男は
自分は昔からこうではなかったのだと
言い訳するように
いびきをかき
いつもの朝を始めている
どちらの世代も自分には無関係だと
女の子は朝の化粧を終え
新宿駅で降りた
また
日常が
始まる
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