翼あるもの/
塔野夏子
瓦礫に腰かけて
悩んでいる天使がいた
天使でも悩むんだ
と僕は云った
天使だから悩むんだろう
と君は云った
そうかもしれない
どうして悩んでるんだろう
と僕
翼が汚れているからじゃないか
と君
汚れた翼じゃ飛べないのかな
と僕
天使だからね
と君
そうかもしれない
(そういえば
飛ぶ夢を最後に見たのっていつだろう)
もちろん
直接尋ねてみたりはせず
僕と君とは
瓦礫に腰かけている天使のそばを
通りすぎた
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