群像/草野春心
気安い同情とクレジット・カード
じつに雑多なものたちを乗せ電車が行く
(混沌、混沌。コントン、コントン……)
プラットホームにいびつに立つ 性欲と性欲
その臭気で世界が成り立っている
(コントン、コントン……)
とらえきれない人々の影はいつか
とらえきれない人々の胸のうちにしまいこまれる
心が解らないのは哀しいことじゃない
*
朝はいつも太陽とインクの匂いがする
そして……かなしみが窓を通り過ぎる
情報は膨大すぎる
人は知りすぎる
命は短すぎ
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