嫁入り/短角牛
おじさんをたずねていくと
いとこの女の子が大きくなっていた。
久しぶりなので小遣いをあげると
喜び跳ねて菓子屋に行った。
秋入梅のなかで、妙に晴れたこの日に
おじさんはやがて打ちっぱなしから帰ってきた。
久しぶりの再開に昼から呑んでいたら
突然の秋時雨。
急に降られてびしょぬれて帰ったいとこは
狐がお嫁にいったんや、と買ってきた菓子を食べながらぽつり。
おばさんはやさしくタオルで頭を拭いてやり、
おじさんは嫁入りに降られた娘を見て
少し寂しそうに僕に一杯注いでくれた。
あの酒は、とてもやわらかだった。
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