ボブソン/はらだまさる
衆便所では
男がニタニタと笑いながら
涅槃のポーズで寝ている
大きな赤蕪を
片手にぶら下げた女が
ぶつぶつと
口から渦を吐き出しながら
失くしたサンダルを探しているのだけれど
彼女の目もぐるぐると
渦を巻いている
ボブソン、
ユリカモメが飛んでいるよ
世の中が、音楽している
音楽はヘンリク・トマシェフスキーの
イラストから聴こえてくるものにそっくりで
わたしはジャズをきながら民謡を歌うことにした
もうそんな甘いだけのテレビなんか舐めるなよ
買ったばかりの自転車で
琵琶湖を百周するから
色鉛筆党の
武内ヒロクニが笑ってる
それだけで、わたしは元気になれる気がする
ケセラセラ、だよ
ボブソン、
ぼくは彼女の手を握って
戻る 編 削 Point(10)