路線バス(系統21番)/たりぽん(大理 奔)
 
  曇る窓の先は雨
  バスの湿り気に汗ばむ
  ポケットのハンカチ
  フロントガラスをぬぐうワイパーの往復が
  息苦しさをリズムにのせようとする

雨の降るしくみは
学校で教わったけど
雨の降る理由を
教えてくれたのは
だれだったかな

  きしきしとつり革がきしむと
  のどのいちばん深いところが
  稜線を見上げるように渇く
  雨で薄めたバーボンは
  偽物の琥珀のようで

  夜には目をとじて
  車窓のゆがみを思い出してみる
  カチカチとリレーの音が満ち
  薄暗い座席のスイッチを押せば
  あかむらさきの星だけの
  安物のプラネタリウム

  床に倒れて
  濡れすぎた傘を
  拾い上げて
  
そんなふうに
終わる今日


  
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