ハリガネのテンシ/Utakata
 
れた時間が
自分の骨を噛み砕いてゆく音だけが聞こえる
鉄格子の透き間から
それがどうしようもない苛立ちを持っていることだけが分かる
それを横目で見ながら できあがった手足を一つずつ繋いでゆく

ずっと昔に忘れ去ってしまった罪を
窓の外のたましいが静かに糾弾する
彼らの眼差しを目の当たりにしても
何で贖えばよいのかがもはや分からない
お前は罪深いのだと指差され蔑まれたなら
まだ救いが残されていたのだろうに
憶えている限りの行いを数え上げながら
針金を曲げては鎖を作ってゆく
鉄屑がぽろぽろと地面におちる

滑らかな細さに映る光のつぶ
出来上がったら糸で吊るして
風に揺れる天使
飛べない羽根を持たされた硬い天使
夜明け前の青ざめた灯りの中で
鳴き声もなく
窓際に揺れる

戻る   Point(0)