主語と述語/吉岡孝次
 
令徳の窓は 細く開かれて
虫の音を汲んでは
濡れた体表に 熱を奪いながら打ち掛ける

滴りが独居を証す秋の夜
言い替えを試しては 白く拡がる画面に
やっと馴染んだ目を時折 走らせる
「走破」と書けば 若きに過ぎるだろう
いっそ という決意も
ない
月の見えない場所から
非常灯のぼんやりとした失意を

僕らしく
見た


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