創書日和「淡」  秋の夕暮れはなぜ物悲しいのだろう/逢坂桜
 
 
 「淡い思い出になればいい」
  いつか、自分で自分に向けた言葉
  だけど、どうすればいいのかなんて、わからなかった



  
  遠いのか、近いのか  

  寄せては返す胸騒ぐ音も、

  いつしか、つかみどころなく、

  輪郭さえも、曖昧になり、

  自分の中に、いまもあるのかさえ、

  最早、意識することもなく

  これが

  「淡い思い出」なのか、と、

  一人、秋の夕暮れに思いを馳せた、

  あの日

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