声とめぐり/木立 悟
 



肌の上に立つ水へ
重ならぬ葉と重なる葉
朽ちた枝を流す金
音は羽へ羽へと変わる


鏡の熱さ
肌の熱さ
指の腹の魔
鏡の熱さ


金に溶けてゆく色が
空をまだらに模している
流れに沈む木のほうへ
羽は羽に吹いてゆく


雨はからだに積もりつづけ
次の雨を呑んでゆく
音の下に映る音
底の底の緑の音


こぼれ 受けとめ
こぼれつづける
手のひらの下 影の手のひら
受けとめつづけ こぼれつづける


枝には卵 土になる羽
枝には卵 うた唱う顔
目を閉じた顔
唱い終えた顔


響きが伝い 落ちてゆく
指と指の行方がはずむ
ふくれてまるい
何も無い場所


はざまに満ちているものが
金と緑をくりかえす
無と無のはざま おのれのはざま
羽と羽をくりかえす













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