DEATH US NEVER DO PART/
池中茉莉花
「素子さん、素子さん」
身体を抱きかかえられ
押し出されるように
わたしは前へずるんと倒れ込んだ
将 まさる マサル
マサルが
街で一緒に選んだ臙脂のネクタイを身に着け
黒い箱に詰められてい・・・
マサル マサル
耳のしこりは
盲腸の傷は
背中のほくろは
足の裏の角質は
彼からわたしを引き離そうと
背後から巻き付いてくる
無数の手を引きちぎり
わたしは今
凍てついた将のすべてを
全身の痛点で感じている
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