親戚の欠片/あおば
 
              070925




こけら落としの上演には
伺いますと
従兄弟のこけしが呟いて
お財布の底を覗いてる
たった一枚
見せ金の一枚だけが
身を固くして
張り付いていて
きちんと畳まれた
新聞紙の束が
100万円単位を誇ってる
分厚く見えるお財布の中には
虚飾の疲れも貯まっていて
外国製の革の衣を脱ぎ捨てて
温泉にでも浸かりたいという風情
これが今の実力ですと
従兄弟のこけしは呟いて
起き上がりこぼしのような
毎日は
不安定のようでいて
綱渡りには必要な
バランス感覚養成に
必要なことなのですと
独り言を呟いて

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