出会った人々についての話/吉田ぐんじょう
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駐車場で暮らす人と知り合いになった
駐車場の
車一台分に四角く区切られたスペースに
うまくお布団を敷いて
机を置いて
入れ替わり立ち替わりする車のヘッドライトを灯りにし
雨が降れば傘を差しながら読書をするような
そんな人だった
招かれたので
お邪魔します
と靴のまま入ったら
土足厳禁です
と怒られた
ずっとここにいるから
いつでも遊びにおいで
と言って笑っていたあの人だったが
先日遊びに行ったらもういなくなっていた
ケーサツが来て
連れて行ってしまったのだそうだ
どこの誰でも同じことだが
気づいたときにはもういない
あの人ももう
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