この星の中/和泉蘆花
風の声を聴いたら 明日が見える気がした
下り坂で 躓くこと
立ち止まれることでもある
痛くて 痛くて 痛くて だけど
もう 転がらずに ひとやすみ
木陰に座る
歩いてばかりじゃ 風の歌 聴こえない
ときどき 立ち止まって 耳を澄ませなくちゃ
わたしの前を ころころ転がる
あなたも一緒に 木陰にいらっしゃい
木の上には 鳥が集い 寂しくないよと
俯いても 蟻たちが 励ましてくれる
空を仰いで 雲の流れを 眺めていたら
太陽が 「この世界にちゃんと居るよ」 と
青く澄んだ 空は 何処までも続き
すべてをやさしく 抱きしめていた
歩いてばかりじゃ この星の歌 聴こえない
君の声を聴くと 明日が見える気がした
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