月見 我が家の天才詩人/里欣
ああ、もう布団から出たよ」
「裸のまま?」
「ママ、月はお餅だよ
兎がお餅をついている、ペタンペタン
だから月があっちこっち揺れて、うごいているんだ」
「ママ、月は雲の鏡
だって、月の模様がどんどん代わっていくもん」
ベランダの下からだれかが通った
「まだ外にいるの?
早く帰りなさい」
と小詩人音量を上げた。
「ママ、雲の形が変わって行く」
「そんなのはだれでも知っている」
「だって、僕ははじめて知ったんだもん」
「ママ、去年覚えている?
「つりしながら月見をするのが最高ね」
「月を見ながら、こうしてごろごろも最高」
「かぐや
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