ただ書き殴ってみた独白/佐々宝砂
 
するものでなくても
それが存在しないものであっても

などと私は
たぶん語るべきじゃないのに
でも


どんなにうんざりで蓋をしても
かすかにたちのぼってくる
この悪臭
ドメスト使っても
消臭元使っても
消えそうにないこの悪臭

この悪臭の糸を杖に
私はよろよろと歩き続け
火星に対抗するあかいものを仰ぎ
夜も明るい工場の片隅で
ぐしゃぐしゃした
IC基板のうえにかがみこみ

単調な労働でぼやけてきた脳裏に
であったこともないひとの姿を
描いてみたりもするのだ
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