夏の白日/shu
大きなクリの木を
蹴り上げて
うずくまり
道端のまだ青い
イガイガを触って
小首をかしげて
泣いた
上手に想い出を折り畳めなくて
冷たく湿った土の上に
焦げついた記憶の影を落として
夏を見あげて
燃え尽きない
空白の呼吸
掻き集める息苦しさにたまらず
雛鳥のように
口を大きく開けて
逃げ走る
赤く爛れていく
アスファルトの野山を
嗚呼
胸の裂け目から
葉っぱが舞うよぅ
いっぱい舞うよぅ
狂ったように
撒き散らして
渦巻く風の向こう
無音の暗闇に
十五夜の
まあるい月が
黄金色の蜜を
垂らしている
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