珠/池中茉莉花
もの卵たちが眼に飛び込んできた
取り去ったばかりの小花のインナーの表面に・・・
ゆき子の心のなかのプレーヤーからは
もうレミオロメンは消えていて
夏の日の「北海よされ節」が太鼓とともに響き渡りはじめた
よされ節に酔いしれながらゆき子はあたたかな家で
卵たちに語りかける
おなかの中にあなたたちを戻したい
でも、それはできない話
おかあさんは生命のつぎに指が大事だと思っていたの
ピアニストを夢みていたのよ
いまだって、「遅咲きの華」っていわれたい
でもいいの
ひとさし指だけね、あなたたちにあげる
もうおとうさんの大好きな「
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