純白/ae96
 
  冬の雨が 雪に変わりつつあった午後

  凍る寸前の雨は

  テラスの さみしそうな植物をぬらした。

  ヒーターの音だけが 響く部屋で

  僕は彼女をベッドに誘った。

  彼女は ベッドに飛び乗ると

  肩越しに言った。

  「ねぇ、あたしたちがここにいること

  だーれもしらないね。」

  僕は ただ頷いて

  腰に手をまわした。

  手の甲で彼女のあごをそっと持ち上げながら

  そのまま

  右手で頬からこめかみをつつむように撫ぜて

  左手を 素肌の唇に 伝わせた。

 
  彼女は 艶かし
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