ふりこ みどり/木立 悟
 



風をつかむ風の溝から
はがれ落ちる空の白から
鳥の爪跡につづく音
空を少し圧し上げる音


はざまを呑む日
双つの光球
においのまつり
音の粒の日
まぶたのまつり
ひかりのまつり


鳥のかたちに沈む曇から
夜は低くやって来て
金に銀をまぶしてゆく
さかさまの爪
何もつかまず昇る爪


空を分けて生まれた器に
楽しげな声が響いている
月は誰もいない器へ移る
小さくうなずく穂をもとめ
双つの空を揺れうごく


曇のかたちがかたちを離れ
屋根に集まりじっとしている
まばたきもせず
はざまを見つめ
雨音を背負いじっとしている


籠のなかに葉のない樹があり
緑の曇と
緑の鳥が生い茂る
痛みのしずく
肉にこぼれ
夜の色をした花になり
いつか去る緑を見つめている










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